一昔前は責任施工方式を採用される管理組合が多くみられましたが、
- 責任施工方式は見積比較が難しい
- 管理組合として合意形成が充分執りにくい
- 修繕方法や仕様に関するトラブルが発生しやすい
といった理由より、近年は設計監理方式の採用が多くなっております。
設計監理方式採用増加の背景
近年設計監理方式が増加している背景を以下に記載いたします。
- 建物の調査・診断を専門的な第三者の目で行うため 客観的なデータを得ることができる。
- 管理組合の資金・有効な積立金の活用を考慮した改修工事設計図書の作成が可能。
- 施工と設計が分離されているので、設計段階で数案の工事範囲、仕様の充分な検討が可能。
- 独立した第三者であることから、施工会社選定に関しては利害関係がないため、偏りのない情報を広く入手することが可能。
- 仕様書が統一されることにより、見積もり比較が容易にできる。結果、合理的な工事金額になり得る。
- 工事期間中、専門家による品質検査が実施できる。
- 管理組合の検討過程における透明性、公平性が担保できることから区分所有者に対しての説明責任を明快に果たすことができる。
コンサルタント費用を要しても最終的に組合としてメリットを得る事が可能となります。
管理組合における発注形態傾向
従来は 『責任施工方式』 を採用される管理組合が一般的でした。
A.責任施工方式採用傾向
- 大規模修繕で計画全体の知識やノウハウがあまりなかった
- 専門工事業者の台頭により、管理組合に責任施工を推奨する傾向があった
- 専門知識を有する一部の組合理事・役員により計画実施されるケース
- 透明・公平性、財産意識に関して住民意識・関心が皆無であった
しかしながら、近年は 『設計・監理方式』 が多く採用されています。これは、時代背景・財産意識の変化による管理組合のニーズが変化しているからです。
B.設計監理工方式採用傾向
- 管理組合側に立つスタンスである第3者を求めている
- 全組合員に対し、計画プロセスと責任所在の明確化
- 現役世代の組合役員の(時間的)負担を軽減
- 全組合員に対し、透明性・公平性ある予算執行を示したい
- インターネット普及による様々な情報や知識が誰でも入手可能となった
- 行政によるマンションストックへの指針開示や各関連法規の整備・規制化による啓発