長期修繕計画について

2008年6月に国土交通省が「長期修繕計画標準様式」を発表し、長期修繕計画作成の手順、方法、資金計画の検討方法などのガイドラインを公表しました。

長期修繕計画作成の目的

長期修繕計画書の作成

長期修繕計画作成に当たり必要な事項

長期修繕計画書の作成国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインの主眼点

上記3点の確定により、区分所有者の負担するべき積立金額が、より明確になり易い
また、積立金原資を確保する為の各種費用の削減目標金額も検討しやすい環境が整う

長期修繕計画書の内容

1. コンセプトを決める

マンションの特徴を考慮
築年数、規模、構造等、マンションの特徴を考慮し、また、区分所有者の要望を聞き取り、場合によってはこれらを視野に入れて検討を行う。
維持管理方針
万全のメンテナンスとするのかほどほどのメンテナンスとするのか、各部材について補修でしのぐのか更新するのか、また、グレードアップ化を図るのか等協議する。
長期修繕計画書の形式
長期修繕計画を作成するにあたり、国土交通省が発表した「長期修繕計画標準様」、作成の手順、方法等については「ガイドライン」を活用にする。

2. 長期修繕計画の計画期間

長期修繕計画の計画期間
新築時は30年以上、既存マンションの場合は25年以上の計画期間が定められていること。
※計画期間内に2回の大規模修繕工事を見込む

3. 工事項目・工事仕様・推定工事費

マンションの現状を把握
劣化診断調査等によりマンションの現状を把握した上で、必要な工事項目、工事仕様の検討を行う。
現実的な工事金額の算出
区分所有者が負担する積立金の設定に影響が出るため、推定工事費については出来る限り現実に近い金額を積算する。

4. 収支計画

シミュレーショングラフ化
計画期間内の推定工事費を年別にグラフ化し、毎年貯まる修繕積立金のグラフを加え、推定工事費と修繕積立金のシミュレーションを行う。
分譲時の修繕積立金は低く抑えられている傾向が多く、そのままの計画では推定工事費用に対して修繕積立金が不足してしまう。将来の計画修繕に備えて、修繕積立金の値上げを検討する。
優先度・緊急度
収支計画を立てると修繕積立金の値上げがあまりに大きい場合等、優先度・緊急度を考慮し、工事項目ごとに修繕時期を見直す等の対応を検討する。

修繕積立金の検証及び見直し

修繕積立金の検証及び見直し長期修繕計画は次の不確定な事項を含んでいるため、定期的に見直す必要があります。

長期修繕計画を見直すポイント

1. 技術面からのアプローチ

積算方式による工事金額の算出による実践的な長期修繕計画の作成
積算方式を採用することで、より現実的な工事金額の算出と工事項目の修繕方法の検討を行うなど、通常の大規模修繕工事と同等の設計を行います。
日常維持管理で補える部分と計画修繕による対処が望まれる部分との仕分け
既存の長期修繕計画と見直し案との比較、分析
ムダのない積立金徴収が可能となり、かつ管理費も有効に使用できます。

2. 運営面からのアプローチ

各種メンテナンス費用(日常維持管理業務)の見直し
日々のランニングコストを削減することにより、管理費会計に剰余金を生み出します。
管理費会計支出の見直しにより生じた剰余金を修繕積立金に充当した場合のシュミレーション作成
適正な管理費会計と修繕積立金会計の収支バランスの調整を図ります。
説明会の開催
総会にて長期修繕計画見直し案の合意形成を図る事前に、説明会を開催し皆様の意見を把握します。

長期修繕計画見直しの事例

日常的な維持保全により補える部分と計画的な修繕による対応が望まれる部分を効率的に仕分けすることによって、長期修繕計画書を見直した事例をご紹介いたします。

他社作成のものでは非常照明器具が経過10年程度で積立金による全戸数一斉に交換するといった計画になっていました。
実際調査すると6ヶ月毎に維持管理上の点検を行う項目になっていました。その際、不良部があれば防災上、交換する必要があります。弊社で見直した長期修繕計画では、積立金による一斉取替という非現実的な方法を止めて、点検時による不良部のみを都度管理費による取替という内容に改めました。
これにより、ムダの無い積立金徴収が可能になり、かつ管理費も有効に使用でき、防災上の不備をなくすことができるようになりました。